Think, Express, Action

20代後半女性。文系プログラマー。TOEIC910点。インドが好き。旅行、節約、料理、読書が好き。IT系の記録や日記を書き残すブログ,

逆境でも強く生きる少年と公文式の話

児童文学の名作、ルナールの「にんじん」を読んだ。
にんじんというあだ名で呼ばれる赤毛の少年の物語。家族や学友の誰もが彼をそう呼ぶ。赤い髪の毛とそばかすからそう呼ばれるようになったらしい。

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どことなく粗野な顔をしていて、乱暴な言葉遣いや振る舞いをしてしまうにんじんは学校でも、兄弟間でも、基本的に孤立している。見た目はそんなだが、心は繊細で、人の行動の意味を考えすぎてしまう。

 

*無料で読めるので、青空文庫のリンクを貼っておきます。

ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 にんじん POIL DE CAROTTE

 


昔公文の国語をやってたときに読んだ作品。公文ではいつもの教材の中に、小説の一部を載せている。この教材には面白い小説が多くて、子供の読書への興味・関心の窓を開けてくれるものだと思う。
他にも、次郎物語とか、赤毛のアンとかいろいろ面白い作品を読んだ。

http://www.kumon.ne.jp/dokusho/pdf/suisen.pdf

 

兄弟3人の中で、自分だけお母さんに愛されていないという思いと、
時たまお母さんが見せるやさしさに、お母さんの愛情を期待してしまうにんじんだが、
やっぱり裏切られるというエピソードに、たまらない気持ちになる。

 

おねしょをしたにんじんに、罰としてお母さんがそのオシッコかウンコ?入りのスープを作って食べさせると いうエピソードに、衝撃を受ける。虐待のパターンとして、聞いたことない。しかもお母さん、ベッドのにんじんのところへそれを持ってきてスプーンをすくって飲ませてやる。珍しくやさしくしてくれてるかと思わせておいて、ぜんぶ飲ませてしまってから種明かしする。それを聞いてにんじんときたら、そうだと思 った、って。。。そんなことにも慣れっこになっているにんじん。

 

お兄ちゃんと一緒につるはしを持って作業してるときに、お兄ちゃんのつるはしが額に刺さり、にんじんは 滴るくらい、流血してしまうのにお母さんは「もっと気をつけなさい」とにんじんに注意する。お兄 さんは注意しないのかい?

 

始まりのほうではまだにんじんはお母さんの愛を期待しているのだけど、何度も裏切られた末、とうとうお母さんのことが大嫌いになってしまう。お父さんにも、お母さんの愛情を期待するのはやめろと言われる 。

 

にんじんは小さな子供ながら、自殺を試みさえする。その自殺の方法がバケツいっぱいに水をため溺死しよ うとするもので、子供らしくてかわいらしいのだが、死ねない。お父さんにそのことをはじめて伝えたとき のお父さんは家族として悲しんでいた。

 

にんじんのお母さんは、子供が3人いる中でもにんじんを愛情を注ぐ対象の最下位につけてしまっていて、子供にとってはこの上なく辛い仕打ちをしているのだが、親も親である前に一人の人間なのだと思う。子供にしても、「お父さんとお母さんとどっちが好き?」という質問に、「お母さん」と答える、そういう子供も一般的なのではないかと思う。どっちもどっちで、人間なんてそんなものだ。
家庭や学校や兄弟間の間で何かの救いが必要な子供にとって、にんじんの苦しみは人を勇気づけるものだと思う。

 

この家族の中にいてにんじんにとっての唯一の救いなのは、お父さんがにんじんの悩みを聞いてくれ、にんじんを一人の人間として、他の子供と同じ愛情を注ぐべき存在として扱ってやっていることだ。

おわり

 

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